2026年10月16日

大腸カメラの前日は、腸の中に残りにくい消化のよい食事を選ぶことが基本です。
ごぼうやきのこ、海藻、豆類、ナッツ類など食物繊維の多いもの、トマトやキウイなど種や皮のある食品、脂の多いものや刺激の強いものは控えます。
夕食は21時までに済ませるよう案内されることが多く、それ以降は絶食となるのが一般的です。
この記事でわかること
- 前日に食べてよいもの・避けたほうがよいものと夕食の時刻の目安
- なぜ食物繊維を避ける必要があるのかという理由
- 検査食・下剤の扱いや常用薬の注意点、うっかり食べてしまった場合の対応
※本記事の内容は一般的な目安であり、個々の診断・治療方針を示すものではありません。
大腸カメラの前処置は医療機関によって方法(検査食の有無、下剤の種類、腸管洗浄液の飲み方)が大きく異なります。
受診先から説明書や指示を受けている場合は必ずそちらに従い、判断に迷う場合は自己判断せず受診先の医療機関へご連絡ください。
前日のスケジュール
大腸カメラ前日は「朝・昼は消化のよいものを、夕食は21時までに」が基本的な流れです。
腸の中に食べ物のかすが残っていると検査で粘膜が観察しにくくなるため、前日のうちから腸に負担をかけない食事に切り替えておく必要があります。
夕食を準備・摂取する際は、消化のよいメニューを選んでいるかを確認し、21時までに食べ終えるよう時間を意識しておくと、当日の準備がスムーズに進みます。

具体的には、前日の朝食・昼食から徐々に消化のよいものへ切り替え、夕食は21時までに終えるのが目安です。
夕食後は基本的に食事を終了し、水や白湯、糖分や乳成分を含まない無糖のお茶などは許可されることが多くあります。
就寝前に下剤を服用する場合があり、検査当日の朝は絶食を継続し、腸管洗浄液を服用するケースが一般的です。
ただし、これらの時刻や内容はあくまで一般的な目安であり、検査の時刻や医療機関の方針によって指示は異なります。
受診先から渡された説明書がある場合は、その内容が最優先です。
なぜ前日の食事に制限があるのか
前日に食事の制限がある理由は、大腸の粘膜をすみずみまで観察できる状態にしておくためです。
腸の中に食べ物のかすが残っていると、そのかげに隠れたポリープや病変を見落としたり、洗浄が不十分になって検査が中止・延期になったりすることがあります。
この目的を理解しておくと、リストに載っていない食品についても自分で判断しやすくなります。
腸に残りやすいかどうかを判断する軸は、主に次の3つです。
- 食物繊維が多いもの(繊維質は消化されにくく、腸内に残りやすい)
- 種や皮のあるもの(消化管を通過してもそのまま残ることがある)
- 脂の多いものや刺激の強いもの(消化に時間がかかり、腸の動きに影響することがある)
リストに載っていない食品を目にしたときも、「繊維が多くないか」「種や皮が残らないか」「脂っこくないか」という3つの視点で考えると、選びやすいか控えたほうがよいかの見当がつきやすくなります。
なお、大腸カメラの前処置は、数時間の絶食が中心となる胃カメラとは大きく異なります。
長さのある大腸全体をすみずみまできれいにする必要があるため、前日からの食事調整と、当日の下剤・腸管洗浄液による洗浄が不可欠となります。
両方の検査を受ける場合や、どちらの検査か分かりにくい場合は、受診先に確認しておくと準備の行き違いを防げます。
前日に食べてよいもの・避けたほうがよいもの
前日は白がゆや白身魚など消化のよいものを中心に選び、食物繊維の多いものや種・皮のある食品は控えるのが基本です。
ただし「これを食べれば絶対に大丈夫」と言い切れるものではなく、あくまで選びやすい・控えたほうがよいという目安として捉えてください。

選びやすいものとしては、白がゆ・白米・うどん・そうめん・食パン(耳を除く)といった主食、白身魚や皮のない鶏肉、卵、豆腐などのたんぱく源、じゃがいもやかぼちゃ(皮と種を除く)、バナナ、具のないスープなどが挙げられます。
いずれも繊維が少なく消化しやすいため、前日の食事の中心に据えやすい食品です。
一方で控えたほうがよいものは、ごぼう・れんこん・きのこ類・海藻類(わかめ・のり・ひじき)・豆類・ナッツ類・こんにゃく・玄米や雑穀といった食物繊維の多い食品、ごま類、トマト・キウイ・いちご・ぶどうなど種や皮のある果物、揚げ物や脂の多い肉、唐辛子やカレーなどの刺激物です。
これらは腸に残りやすかったり消化に負担がかかったりするため、前日は控えることが望ましいとされています。
前日の夕食の献立の例
前日の夕食に何を食べればよいか迷う場合は、次のような簡単な組み合わせが参考になります。
- 白がゆ+卵豆腐+白身魚の煮つけ(薄味)
- うどん(具はかまぼこ・卵など消化のよいもののみ)+バナナ
- 白米+皮を除いた鶏むね肉のスープ煮+じゃがいものすりつぶし
いずれも家族の食事から一部を取り分けたり、味付けをシンプルにしたりするだけで用意できる献立です。
特別な食材をそろえる必要はなく、いつもの食事から繊維の多いものと種・皮のあるものを除くという考え方で組み立てれば十分です。
検査食を渡されている場合
医療機関から検査食(腸に残りにくいよう調整された食事)を渡されている場合は、それだけで前日の食事を済ませるのが確実な方法です。
検査食は前処置に合わせて内容が調整されているため、自己判断で他の食品を追加すると、想定していた準備の状態にならないことがあります。
「量が少なくて物足りない」と感じても、他の食品を足すことは避け、決められた量・タイミングで摂ることが基本です。
検査食の内容や食べ方について不明点がある場合は、自己判断で対応せず、渡された医療機関に確認することが望ましい対応です。
検査食を渡されていない場合は、前のセクションで紹介した食品の目安を参考にしてください。
前日の夕食は何時までに済ませるか
前日の夕食は21時までに済ませるのが一般的な目安です。
夕食から検査までの時間を十分に空けることで、食べ物の消化を促し、翌日の腸内を効率よく空にするためです。
ただし「21時までなら必ず問題ない」と言い切れるものではなく、検査の時刻や医療機関の方針によって指示される時刻は異なります。
たとえば検査が午前中に予定されている場合と午後に予定されている場合とでは、夕食の時刻や翌朝の絶食の開始時刻についての案内が変わることがあります。
受診先から具体的な時刻の指示を受けている場合は、そちらを優先してください。
指示された時刻を過ぎてしまいそうな場合や、時刻の指示自体を確認し忘れた場合は、事前に医療機関へ問い合わせておくと安心です。
飲み物・飲酒について
水やお茶など色のついていない飲み物は前日から当日にかけても許可されることが多い一方、牛乳やジュース、果肉入りの飲料は避けるよう案内されるのが一般的です。
色や果肉が腸の中に残ったり、粘膜の観察を妨げたりする可能性があるためです。
具体的には、水・麦茶・番茶など色の薄い飲み物は選びやすく、牛乳やオレンジジュース、果肉入りのスムージーなどは控えたほうがよい飲み物として案内されることが多くあります。
飲酒についても、前日は控えるのが望ましいとされています。
アルコールは消化管への刺激になるほか、下剤や腸管洗浄液の作用に影響する可能性があるため、検査前日から当日にかけては控えるという案内が一般的です。
下剤・腸管洗浄液の扱い
下剤・腸管洗浄液の種類や飲み方は医療機関によって大きく異なるため、記事上の一般的な説明だけで判断せず、必ず受診先から渡された説明書の指示に従ってください。
一般的な流れとしては、前日の就寝前に下剤を服用し、検査当日に腸管洗浄液を飲んで腸の中を洗い流すという方法がとられることが多くあります。
飲み方が分からなくなった場合は、自己判断で量や飲むペースを変えず、受診先の医療機関へ連絡して確認することが大切です。
服用のタイミングを勝手に変えたり、飲むスピードを早めたり遅くしたりすると、体調不良の原因になったり腸の中が十分にきれいにならなかったりして、検査の精度に影響することがあります。
また、過去に前処置がうまくいかなかった経験がある場合は、予約時にその旨を伝えておくと、服用方法や量について配慮を受けやすくなります。
常用薬をどうするか——自己判断はしない
日常的に服用している薬は、自己判断で休薬も服用もせず、必ず事前に受診先の医師へ確認してください。
検査のために自己判断で薬を止めてしまうと、持病の状態が悪化したり、思わぬリスクにつながったりすることがあります。
特に確認が必要な薬として、次の4つが挙げられます。
- 糖尿病の治療薬(食事を抜くことで低血糖を起こすおそれがあるため)
- 血液をさらさらにする薬(抗血栓薬。ポリープ切除の可能性がある大腸カメラでは特に重要な確認事項です)
- 便秘薬(前処置の下剤・腸管洗浄液と作用が重なるため)
- 鉄剤(腸内に色が残り、観察の妨げになることがあるため)
一般社団法人日本消化器内視鏡学会の診療ガイドラインにおいても、抗血栓薬の対応は専門医による個別の判断が必要とされています。
自己判断で休薬すると脳梗塞や心筋梗塞などの血栓症リスクが高まる一方、服用を継続したまま検査や処置を行う場合は出血への十分な配慮が必要となるためです。
必ずあらかじめ医師の指示に従ってください。
いずれの薬についても、「検査だから念のため休んでおこう」といった自己判断は避け、予約の段階やお薬手帳を持参した診察の際に、服用中のすべての薬を伝えて確認してもらうことが、安全に検査を受けるための基本です。
うっかり食べてしまった場合
前日にうっかり控えるべき食品を食べてしまった場合は、黙って検査に臨むのではなく、医療機関へ連絡して指示を仰ぐことが大切です。
「少量だから大丈夫だろう」と自己判断で様子を見ることは避けてください。
連絡する際は、何を・どれくらい・何時ごろに食べたかを具体的に伝えると、医療機関側で状況を踏まえた判断がしやすくなります。
内容によっては、検査の時刻を調整したり、腸管洗浄液の飲み方について追加の案内を受けたりできる場合もあります。
連絡するタイミングに迷う場合も、気づいた時点でできるだけ早く医療機関へ相談することが望ましい対応です。
便秘がちな方・過去に前処置がうまくいかなかった方へ
便秘傾向がある方は、前日だけでなく数日前から食事を調整しておくと、腸がきれいになりやすくなります。
腸の動きがゆっくりな分、繊維の多い食品や消化に時間のかかる食品を早めに控えておくことで、前日・当日の準備がスムーズに進みやすくなります。
また、過去に下剤や腸管洗浄液を飲んでも腸が十分にきれいにならなかった経験がある場合は、予約の際にその旨を伝えておくと、薬の種類や量について配慮を受けやすくなります。
数日前からの具体的な食事の調整方法については、関連記事「大腸カメラ3日前からの食事|3日間の献立と食べてよい食材一覧」で詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
検査当日の朝の過ごし方
検査当日の朝は食事を摂らず、絶食を継続するのが基本です。
前日からの流れをそのまま引き継ぎ、水や白湯、糖分や乳成分を含まない無糖のお茶のみを、受診先の指示に従って摂るようにします。
腸管洗浄液の服用方法や飲むタイミングは、医療機関によって指示が異なるため、渡された説明書のとおりに進めてください。
服装は着脱しやすいものを選び、検査で鎮静剤の使用を希望する場合は、当日の運転ができなくなるため、公共交通機関や付き添いなど来院・帰宅の手段をあらかじめ確認しておく必要があります。
検査後の食事については、別記事「大腸カメラ後の食事はいつから?ポリープを切除した場合の注意点も解説」で扱っていますので、そちらをご覧ください。
よくある質問(FAQ)
Q. 前日の朝食・昼食にも制限はありますか?
朝食・昼食も、消化のよいものを選ぶことが望ましいとされています。
夕食に近づくほど制限が厳しくなる傾向がありますが、朝・昼のうちから繊維の多いものを控えておくと、前処置がスムーズに進みやすくなります。
受診先の指示があれば、そちらを優先してください。
Q. うどんやおかゆは食べてもよいですか?
うどんやおかゆは、消化がよく前日の食事に選びやすい食品とされています。
うどんはねぎやわかめなど繊維の多い具材を避けて具材を控えめにし、おかゆは玄米がゆではなく白がゆを選ぶとより安心です。
検査食を渡されている場合は、そちらの指示が優先されます。
Q. 前日に牛乳やコーヒーを飲んでもよいですか?
牛乳は色や成分が腸内に残りやすいため控えたほうがよいとされており、コーヒーも種類や量によっては制限されることがあります。
水や白湯、無糖のお茶など色の薄い飲み物を選ぶのが一般的な目安ですが、詳細は受診先の指示に従ってください。
Q. 21時を過ぎて食べてしまいました。どうすればよいですか?
時刻を過ぎて食べてしまった場合も、慌てず自己判断で様子を見ることは避け、医療機関へ連絡して指示を仰ぐことが大切です。
何を・どれくらい・何時に食べたかを伝えると、検査時刻の調整も含めて状況に応じた判断をしてもらえます。
Q. 毎朝飲んでいる薬や便秘薬はどうすればよいですか?
常用薬や便秘薬は、自己判断で休薬も服用もせず、必ず事前に受診先の医師へ確認してください。
特に糖尿病治療薬や血液をさらさらにする薬(抗血栓薬)は、休薬の要否が医学的なガイドラインに基づいて判断されるため、必ず医師の判断が必要です。
まとめ
大腸カメラの前日は、腸に残りにくい消化のよいものを選び、夕食は21時までに済ませるのが基本的な目安です。
制限の目的は、腸の中を空にして粘膜をきちんと観察できる状態にすることにあり、この目的を理解しておけば、リストにない食品への判断にも応用できます。
常用薬については自己判断で休薬・服用をせず、必ず事前に医師へ確認してください。
前処置の方法は医療機関によって大きく異なるため、受診先から渡された説明書の指示が最優先です。
判断に迷うことがあれば、自己判断で様子を見るのではなく、受診先の医療機関へ連絡することが、安全に検査を受けるための一番の近道になります。
※本記事の内容は一般的な情報提供を目的としたものであり、個々の診断・治療方針を示すものではありません。
大腸カメラの前処置の方法は医療機関によって異なるため、実際の食事内容・服薬の可否は、受診先から渡された説明書や医師の指示に従ってください。
参考文献
日本消化器内視鏡学会 ガイドライン・提言(抗血栓薬服用者に対する消化器内視鏡診療ガイドライン 等)
国立がん研究センター がん情報サービス 大腸がん検診について
国立がん研究センター がん情報サービス 大腸がん(結腸がん・直腸がん)
厚生労働省 健康日本21アクション支援システム ~健康づくりサポートネット~
監修者情報
板橋駅前さとう消化器・内視鏡クリニック 院長
佐藤公紀(さとう こうき)医師
資格・所属学会
- 医学博士(画像診断治療学)
- 消化器病専門医
- 消化器内視鏡専門医
- 肝臓専門医
- 総合内科専門医
- 難病指定医
略歴
- 東京慈恵会医科大学医学部医学科を卒業後、社会福祉法人三井記念病院で初期研修・消化器内科医員、順天堂大学医学部附属順天堂医院で消化器内科医員を務める。
- 順天堂大学大学院医学研究科で医学博士(画像診断治療学)を取得し、三井記念病院消化器内科医長を経て板橋駅前さとう消化器・内視鏡クリニックを開院。
- これまでに1万例以上の内視鏡検査・治療を術者として経験している。