2026年10月06日

胃カメラと大腸カメラを同じ日に受けても、検査そのものの費用が半額になるわけではありません。
保険診療の点数は検査ごとに算定されるため、基本的には胃カメラ分と大腸カメラ分の両方がかかります。
ただし、診察や前処置に関わる部分が1回で済むため、別々の日に受けた場合の合計よりわずかに少なくなることがあります。
費用面以上にメリットを実感しやすいのが、通院や準備にかかる手間の削減です。
同日に受診することで、食事制限や前処置、来院、仕事のスケジュール調整がすべて1回で済みます。
一方で、当日の拘束時間は長くなり、体への負担が1日に集中する点には注意が必要です。
同日に実施できるかどうかは、当日の体調や検査内容を踏まえて医師が判断します。
この記事でわかること
- 同日検査・別々に受けた場合それぞれの費用の目安と、差が生まれる理由
- 同日検査のメリットと、知っておきたいデメリット・適さない場合
- 当日の流れと所要時間、負担が大きくなったときに使える制度
※表示金額は当院が公表する保険診療の目安です。
実際の負担額は診療内容や自己負担割合により異なります。
また、同日検査の可否は医師の診察のうえで判断します。
診療報酬は改定により変更されるため、最新の情報は厚生労働省の公表資料および受診先の医療機関でご確認ください。
同日/別々の費用の目安を比較
胃カメラと大腸カメラを同日に受けた場合の費用は、基本的に「胃カメラ単独の費用」と「大腸カメラ単独の費用」を合わせた水準になります。
保険診療における検査の点数は検査ごとに個別に定められているため、同日に受けたからといってどちらかの検査分がまるごと無料になったり、半額になったりするわけではありません。
当院の費用目安(観察のみ・診察料や薬代別途)では、3割負担の場合、胃カメラ単独で約4,500円、大腸カメラ単独で約7,500円です。
- 1割負担:胃カメラ 約1,500円 / 大腸カメラ 約2,500円
- 2割負担:胃カメラ 約3,000円 / 大腸カメラ 約5,000円
- 3割負担:胃カメラ 約4,500円 / 大腸カメラ 約7,500円
単純に合計すると、3割負担で12,000円程度になる計算です。
ただし、同日に受けた場合の実際の窓口負担は、これよりわずかに少なくなることがあります。
差が生まれる理由は、次のセクションで詳しく説明します。
生検やポリープ切除が加わると金額はさらに変わるため、上記はあくまで観察のみの場合の目安です。
金額はいずれも一般的な保険診療にもとづく目安であり、診療内容・加算・自己負担割合により異なります。
正確な費用は予約時または受診時にクリニックへご確認ください。

なぜ同日のほうがわずかに少なくなるのか
「同日にすればまとめて半額になるのでは」と期待する方もいらっしゃるかもしれませんが、実際にはそうなりません。
保険診療の点数は検査ごとに算定される仕組みになっており、胃カメラと大腸カメラはそれぞれ別の検査として点数が定められています。
厚生労働省が定める診療報酬制度により、各検査の点数は全国一律で定められており、医療機関が独自に割引を行うことはできません[1][2]。
それでも同日に受けた場合の合計がわずかに少なくなることがあるのは、検査そのものの費用ではなく、その前後にかかる部分が1回で済むためです。
具体的には、診察にかかる部分や、鎮静剤・鎮痛剤を使う場合の投与にかかる部分などが挙げられます。
これらは検査を1回受けるか2回受けるかにかかわらず一定の負担が生じる性質のものであるため、同じ日にまとめることで重複が減り、結果として合計額がわずかに抑えられることがあります。
つまり「検査代が安くなる」のではなく、「検査に付随する部分の重複が減る」ことによって、別々に2日に分けて受けた場合の合計よりも少しだけ負担が軽くなる、という構造です。
金額の差は診療内容や自己負担割合によって異なるため、まずは「全体としてわずかに抑えられる場合がある」という目安として捉えておくのがおすすめです。
正確な金額を知りたい場合は、予約時にクリニックへ確認することをおすすめします。
生検・ポリープ切除が加わった場合
実際の窓口負担を最も大きく左右するのは、検査中に生検やポリープ切除が加わるかどうかです。
生検やポリープ切除は、内視鏡で観察した所見に応じてその場で判断されるため、予約の時点で最終的な金額を確定させることはできません。
当院における費用の目安では、3割負担の場合、胃カメラに生検が加わると9,000円、大腸カメラに生検が加わると15,000円が目安となります。
さらに大腸のポリープを切除した場合は21,000〜27,000円が目安です(いずれも診察料・薬剤料などは別途)。
同日検査では、胃カメラと大腸カメラのそれぞれで処置が加わる可能性があるため、両方に生検やポリープ切除が加わった場合は、単独で受けるときよりも合計額の変動幅が大きくなります。
「予定していた金額と当日の会計が違った」と困らないよう、あらかじめ処置が加わった場合の上限目安を予約時に確認し、余裕を持った支払い方法(クレジットカード等)を準備しておくと安心です。
費用以上に大きい「手間の削減」
同日検査を選ぶ理由として、費用面のわずかな差以上に大きいのが手間の削減です。
胃カメラと大腸カメラをそれぞれ別の日に受けると、食事制限や前処置、来院、仕事や予定の調整をすべて2回ずつ行うことになります。
これを1回にまとめられることは、忙しい方にとって費用以上に価値のあるメリットといえます。
当院の同日検査でも、食事制限や検査前後の待ち時間、鎮静剤・鎮痛剤の使用回数、通院回数のすべてが1回で済むよう配慮しています。
検査にかかる時間についても、大腸カメラの検査に胃カメラの分として5〜10分程度が加わるだけで両方を終えられるため、拘束時間が単純に2倍になるわけではありません。
特に大腸カメラを受ける前の前処置は、腸管洗浄液を服用して腸の中をきれいにする必要があり、時間もかかるため負担が大きいと感じる方が少なくありません。
この前処置が1回で済むことは、同日検査を選ぶ大きな動機になります。

知っておきたいデメリット
同日検査には多くのメリットがある一方、事前に把握しておきたい注意点やデメリットもあります。
- 1回の来院時間が長くなる:受付から検査・回復までが1日にまとまるため、当日の滞在時間が長くなります。
- 身体的負担が1日に集中する:前処置や検査が同日に重なるため、人によっては強い疲労感を感じる場合があります。
- 当日の乗り物運転が不可:鎮静剤・鎮痛剤を使用する場合、検査後は車・バイク・自転車などの運転ができません(徒歩や公共交通機関、ご家族の送迎等が必要です)。
加えて、医療機関によっては、体制の都合などから同日検査に対応していない場合もあります。
同日での実施を希望する場合は、事前に対応可能かどうかを確認しておくことが大切です。
同日検査が適さない場合
同日検査は多くの方にとって選択肢になりますが、誰でも必ず同日に受けられるわけではありません。
体調や持病、服用中の薬、過去の検査での経験などによって、医師が同日での実施は適さないと判断する場合があります。
たとえば、当日の体調が優れない場合や、鎮静剤・鎮痛剤の使用によって身体への負担が大きくなりやすい持病がある場合、過去の内視鏡検査で強い負担を感じた経験がある場合などは、無理に同日で行うのではなく、日を分けて受けることが勧められることがあります。
各医療機関では、日本消化器内視鏡学会などが定める専門的なガイドラインに基づき、安全管理を徹底した上で検査を実施しています[6]。
同日検査が適切かどうかは医師の診察のもと決定されますので、ご自身の体調や過去の検査経験に不安がある場合は、事前に診察時やお電話でご相談ください。
当日の流れと所要時間
同日検査の当日は、来院・受付から始まり、前処置、1つ目の検査、2つ目の検査、回復のための休息、医師からの説明を経て帰宅する、という流れが一般的です。
どちらの検査を先に行うかは医療機関の運用や当日の状況によって異なるため、予約時に確認しておくと見通しが立てやすくなります。
所要時間の目安として、当院では胃カメラの検査時間はおよそ5〜10分、大腸カメラの検査時間はおよそ15〜30分としています。
同日に両方を受ける場合も、大腸カメラの検査時間に胃カメラの分として5〜10分程度が加わる形になるため、検査そのものの時間が単純に2倍になるわけではありません。
ただし、鎮静剤・鎮痛剤を使用する場合は、検査後にリカバリールームで薬効が切れるまでお休みいただくため、院内でのトータル滞在時間は検査単体の時間よりも長くなります。
なお、所要時間や検査の順序は医療機関や検査内容によって異なります。
当日の流れをさらに詳しく知りたい方は、別記事「内視鏡検査の時間はどのくらい?来院から帰宅までの目安」もあわせてご覧ください。

負担が大きくなったときに使える制度
同日検査は、別々に受ける場合に比べて1日あたりの窓口負担が大きくなりやすい面があります。
生検やポリープ切除が重なった場合など、想定より負担が大きくなったときに知っておきたい制度が2つあります。
1つ目は「高額療養費制度」です。
1か月の医療費の自己負担額が、年齢や所得に応じた上限額を超えた場合にその超過分が払い戻される仕組みです。
あらかじめ「限度額適用認定証」を提示することで、窓口での支払いを上限額に抑えることもできます[4]。
単発の検査だけで上限に達することは多くありませんが、他の治療や入院と重なった際には覚えておくと安心です。
2つ目は医療費控除です。
国税庁の案内によれば、1年間に支払った医療費が一定額(原則10万円、総所得金額等が200万円未満の方はその5%相当額)を超えた場合、確定申告によって所得税の負担を軽くできる制度です[5]。
同日検査にかかった費用も、家族分の医療費と合算して申告できる場合があります。
いずれの制度も、適用条件や具体的な金額は個々の状況によって異なります。
詳しくは加入している健康保険組合や最寄りの税務署にご確認ください。
予約時に確認しておくとよいこと
同日検査を検討する際は、予約の段階で次の点を確認しておくと、当日になって戸惑うことを減らせます。
- 同日検査に対応しているか
- 当日のおおよその所要時間
- 生検やポリープ切除など処置が加わった場合の費用の目安
- 鎮静薬・鎮痛薬を使う場合の扱いと、当日の来院・帰宅の手段
- 前処置(下剤の服用方法など)の進め方
これらをあらかじめ把握しておくことで、費用面でも当日の過ごし方の面でも見通しを立てやすくなります。
気になる点があれば、遠慮せずに予約時や診察時に質問してみてください。
よくある質問(FAQ)
Q. 同日に受けると費用は半額になりますか?
半額にはなりません。
保険診療の点数は検査ごとに算定されるため、胃カメラ分と大腸カメラ分の費用は基本的にそれぞれかかります。
ただし、診察や前処置に関わる部分が1回で済むため、別々に受けた場合の合計よりわずかに少なくなることがあります。
Q. どちらの検査を先に行いますか?
検査の順番は医療機関の運用や当日の状況によって異なります。
あらかじめ決まった順番があるわけではないため、予約時にどちらを先に行うか確認しておくと安心です。
Q. 当日はどのくらい時間がかかりますか?
検査そのものは、大腸カメラの検査時間に胃カメラの分として5〜10分程度が加わる形が目安です。
鎮静剤・鎮痛剤を使う場合は、検査後の休息時間も必要になるため、来院から帰宅までの拘束時間はこれより長くなります。
Q. 同日検査は体への負担が大きいですか?
前処置や検査にともなう負担が1日に集中するため、別々の日に分けて受けるより負担が大きいと感じる方もいます。
手間が1回で済むメリットと、負担が集中するデメリットの両方を踏まえて検討するとよいでしょう。
Q. 症状がなくても同日に両方受けられますか?
症状の有無にかかわらず、同日実施が可能かどうかは体調や検査目的などを踏まえて医師が判断します。
健診等をきっかけに検討している場合も、まずは診察でご相談ください。
まとめ
胃カメラと大腸カメラを同日に受けても、保険診療の点数はそれぞれ算定されるため検査費用が半額になるわけではありません。
しかし、診察料や事前処置などの重複が減るため、別々に受けるより総額がわずかに安くなる場合があります。
費用面以上に大きなメリットは、食事制限や前処置、通院・スケジュール調整が1回で完了する「手間の削減」です。
一方で、当日の滞在時間が長くなり身体的負担が1日に集中する側面もあります。
同日検査が可能かどうかは医師の診察のもと決定されますので、まずは予約時に対応可否や当日の流れについてお気軽にお問い合わせください。
参考文献
国立がん研究センター がん情報サービス 大腸がん検診について
監修者情報
板橋駅前さとう消化器・内視鏡クリニック 院長
佐藤公紀(さとう こうき)医師
資格・所属学会
- 医学博士(画像診断治療学)
- 消化器病専門医
- 消化器内視鏡専門医
- 肝臓専門医
- 総合内科専門医
- 難病指定医
略歴
- 東京慈恵会医科大学医学部医学科を卒業後、社会福祉法人三井記念病院で初期研修・消化器内科医員、順天堂大学医学部附属順天堂医院で消化器内科医員を務める。
- 順天堂大学大学院医学研究科で医学博士(画像診断治療学)を取得し、三井記念病院消化器内科医長を経て板橋駅前さとう消化器・内視鏡クリニックを開院。
- これまでに1万例以上の内視鏡検査・治療を術者として経験している。